ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その９８

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

四

ⅹⅰ

「悪いことは言わねーべ。

疾しい気持ちがあるんだったら、

神聖な黄金梅を咲かせるのは諦めたほうがいいべ」

　邦夫の怒りを抑えているのかのような低い声が聞こえてくる。

太一は、びくっと肩を竦めた。

「すみません……。

でも！　黄金梅を咲かせようという意志だけは本物です！」

「本当だべか？」

　麻里が殊勝な態度で応える。

しかし、邦夫は信じていないようだ。

見定めるように彼女の顔をじっと見つめた。

その眼力に耐えきられなくなったのかもしれない。

麻里が少し顔をうつむかせる。

「え、ええっと……。

外の人も中の人もみんなで仲良くなれたらいいな、

っていうのは、だめですか？」

「それに応えられるのはわしじゃないべ。

すべては雪姫様のお心次第だべ」

　話は終わったとばかりに邦夫は

あっさりと会話を打ち切った。

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