ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その１００

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

五

ⅹⅹⅵ

「いい機会だ。

あんたちょっと角について知ってることを教えてくれや」

　飛田への印象をよくするのはやぶさかではない。

もちろんです、と大きく頷こうとしたが、

ハッと我に返り律子は思いとどまる。

「飛田さんのことですよね？

といっても今日会ったばかりですよ？

お義父さんのほうがお詳しいじゃないですか？」

「いや、まあ、とにかく、頼む」

「はぁ？　それで、どんなことを知りたいんですか？」

　要領を得ない山波の言い方に首を傾げると、

山波が突然声を荒げてきた。

「い、いろいろだ！」

　やはり娘の彼氏という存在が気になってしかたないのだろう。

律子は子供じみた山波の態度にくすりと小さく微笑んだ。

（ふふふ。あれもツンデレの部類に入るのかしら）

　山波が肩をいからせ、さっさと家の中へ入っていく。

後ろからでは見えないが、

もしかしたら顔を赤くしているかもしれない。

律子はぶっきらぼうな態度ばかりとるくせに、

最後の部分では優しさを見せてくる山波の背中を

しばらくの間眺めていた。

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