ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その１１

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

一

ⅹⅰ

「雪姫様にたたられたどうしよう。

ううん、雪姫様はそんな度量の狭いお方じゃないから大丈夫よ！」

　あのあと紙と割れた氷を元の場所へ戻し、

紙のヒントを元に梅の木の下に種を植え、

持ってきたまいまいず井戸の水をかけた。

すると一瞬にして５００円玉くらいの丸くて平たい石を

たくさん実らせた木が出現したのだ。

律子が目を見開いたまま固まっていると

あっという間に実を落とすように石が木から落下し、

木はあとかたもなく消え去った。

「あれは一体なんだったのかしら……

変な模様の石がいっぱい実ったけど、

やっぱり黄金梅って不思議な植物なのねえ」

　わけもわからず連れて行かされた先で実を植えたら金属がはえ、

盆踊りが上手く踊れないと阿吽像からブーイングをもらった。

そんな昨日に引き続き、今日は種を植えたら石が実ったのだ。

律子は立て続けに起こった不可思議なことに

ついついぼやいてしまった。

「ふふふふ。麻里さんのあの踊り」

　ふいに昨日会ったばかりの教師にはまったく見えない

可愛らしい女性を思い出し、口元が緩む。

教えるまでに時間がかかったが、

今思えば楽しいひと時だったかもしれない。

「それにしてもこれからどうすればいいのかしら？

貸した自転車のこともあるし

麻里さんとは一度連絡を取ったほうがいいわよねえ」

　石をカバンの中へ詰め込み早々に鉢万神社を辞去した律子は、

義兄から教わった道を自転車で走りながらこれからのことについて

考え始めた。

　獣道とは言わないが舗装されていない土道を颯爽と走っていると

前方に１台の車停まっているのが見える。

律子は一方通行に近いような狭い道の半分を占領している車に

不満を口にしたくなるのをぐっとこらえ、

行く手を阻む障害物を避けようとハンドルを持つ手に力を込めた。

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