ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その１３

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

二

ⅱ

「大丈夫だって。ちゃんとバレないようにほれ、こうして」

　朔太郎が新聞紙に包んである木版を懐からだす。

「ちょっと、朔ちゃん！

こんなところで出しちゃダメでしょう！　って、あら？」

　なんとなくぼうっと三人の会話を聞いていると、

朔太郎を諌めていた麗が視線を向けてきた。

麗に倣い、他の二人もこちらを見て目をまたたく。

「正志か？　朝早くから何してんだ？」

　邦夫の質問に飛田は慌てて一礼した。　

「あ、長老さま方。おはようございます」

「うむ。おはようさん」

　鷹揚に頷きつつ、

朔太郎が慌てたように木板を懐へしまおうとする。

「あれ？　それ……」

　見覚えのある木版を目にして飛田は指をさした。

「朔ちゃん、隠さなくてもいいわよ。

まぁーくんはこれを取りにきたんだから」

　麗の発言に飛田は目を見開く。

やはり昨日手に入れた木版そのものだったのだと気づき、

口の端に笑みを浮かべた。

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