ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その２３

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

二

ⅹⅱ

　律子が頭を下げ再度一礼すると、青年が深々とお辞儀してくる。

「こちらこそ。本当に申し訳ありませんでした」

「元はといえば正志のわき見が原因だ。謝るのはこっちのほうだべ」

「んだんだ。それより、ずいぶん重たいけど、何が入ってるだべ？」

　男性陣の勢いにたじろいでいると、

カバンの中身を知られたくないと勘違いしたのか

白魚のような手がずんぐりした男性の肩を叩いた。

「ちょっと、邦ちゃん！　女性に持ち物聞くなんて失礼よ」

「お、そうか。そいつはすまん、すまん」

　律子は、ザリザリと音を鳴らしながら頭をさする男性へ

首を横に振る。

気にしないでくださいと笑みを浮かべて告げるが、

なおも老人たちは申し訳なさそうな顔でこちらを見てきた。

「本当にごめんなさいね。って、まぁーくん何してるの！

早くこの方の荷物を持ってさしあげなさい」

　女性は腰に手をやり青年へ三白眼を向ける。

律子も彼女に倣うように彼へ目線をやると、

先ほどよりも顔色が悪く見え内心で首を傾げた。

しかし目を泳がせ明後日のほうを向く青年が持っている物を見るや、

律子はポカンと口を開け固まる。

「え？　ええっと……。

実は自転車がこんなことになっちゃってて……」

　青年の腕の中には、

見るも無残なほどボロボロになった自転車があった。

一つ前を読む　　　 GPの部屋に戻る　　　次を読む