ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その２４

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

二

ⅹⅲ

「へ？　イヤー！！　なんで？　さっきまでは大丈夫だったのに……」

　両頬に手をあて叫ぶ律子へ、

飛田は内心で冷や汗をかきつつ愛想笑う。

「ちょっと投げちゃったみたいな？　あはははは。

あ、いや、荷物持つついでに家までお送りしますから、車に乗ってください」

　とにかくこの場を収めなければ。

茫然と立ちつくしている女性からトートバッグを受け取ろうと手を伸ばすと、

後方から声が聞こえてきた。

『……ハァー』

　異口同音に重い溜め息をつく三長老の前で、飛田は頭を下げる。

「本当に申し訳ないです」

　心から詫びると、女性の震え声が降ってきた。

「なななな投げちゃったって、どこに投げる必要があったっていうのよ！

もうこれからどうやって買い物すればいいのー」

　半ばパニックに陥っているらしい女性を前に為す術もなく立ちつくしていると、

そっと麗が律子へ近づいていった。

「本当にすみません。あ、弁償はもちろんさせますから安心してください」

　麗の言葉にますます恐縮して、飛田は体温を上昇させた。

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