ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その２８

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

二

ⅹⅶ

「まぁーくん、どうかしたの？」

「う、麗おばさん。これって何か見たことないですか？」

　青年は、覗きこんできた老女へ

模様のようなものが書かれている石を見せる。

「え？　どれどれ？　そうね……」

（あれが何か知ってるのかしら？）

　青年が黄金梅の種から実った石を

１つずつ確かめるように拾い集める。

律子は、そんな彼の行動が胸をざわつかせた。

（雪姫様の氷を壊しちゃったことがバレたらどうしよう……）

　蜂万神社で真っ二つに割れてしまった氷のことを思い出し、

背筋に冷たいものが走る。

（それにこの石のことを聞かれたらなんて答えればいいのかしら）

　獣人たちの棲む地区で、しかも初対面の相手に

バカ正直にこれまでの経緯を説明していいはずがない。

だが、目を泳がせるこちらをよそに、

青年から石を受け取った女性が瞳を輝かせて石を見つめていた。

「やだ、これ古字が書かれてるじゃない」

「古字って、もしかして古文書の？」

「ええ、そうよ」

（古字？　古字って昨日麻里さんたちと見た石碑の文字と同じってこと？）

　高揚して頷いて見せる老女に律子は目を見開く。

あの石が読めるということは、

蜂万神社のこともバレてしまうのは時間の問題だ。

律子はサァーっと血の気が引いていくのがわかった。

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