ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その３１

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

二

ⅹⅹ

「はいはい、喧嘩は後にしましょうね。それで、あなたのお名前は？」

「へ？　あ、はい。野木崎律子（のぎざきりつこ）と申します」

「律子さんね。いい名前ね」

　にこりと笑う麗につられ、律子も頬を緩ませる。

すると麗が突然、ずいっと迫ってきた。

「それでね、その石のことなんだけど

私たちにも関係あることかもしれないの」

「？？？」

　真剣な眼差しで語られた言葉に律子は疑問符を浮かべる。

（神社のことがバレたわけじゃないってこと？）

　どうやらいつもの早とちりだったらしい。

墓穴を掘る前に気づけて良かった。

律子が心底安堵のため息をついていると飛田の携帯が繋がったのか、

彼の顔にとろけそうな笑みが広がった。

「あ、もしもし芽衣子ちゃん？　

お義父さんいるかな？　うん。見つかったんだけど」

　飛田が先ほどまで自分たちと話していた声とはまったく違う

甘い声で電話を続けている。

「梅の香り？　うん。確かにしてるけど。うん。うん」

（若いっていいわねー）

「詳しいことは今、まぁー君から説明があるから」

　律子が恋人たちの会話を聞くともなしに聞いていると、

麗が肩を竦めながらこちらを見てきた。

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