ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その３７

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

三

ⅱ

「こんにちは、飛田さん」

　中から出てきたのは、ふっくらとした体格の婦人だった。

６０代くらいだろうか。白いエプロンがとてもよく似合っている。

女性は飛田を見るや、目じりに皺を作って微笑んだ。

「芽衣子ならもう仕事に行っちゃってるけど」

「いえ、あの、お義父……善郎さんご在宅ですか？」

「うちの人なら今仕事場に……って、あら、どちら様ですか？」

　こちらの存在に女性が目を丸くする。

律子は凝視してくる女性へ背筋を伸ばした。

「初めまして、野木崎律子といいます。

突然すみません。

あの、先ほどこちらの飛田さんとお会いしまして……えーっと」

　どう説明したらいいのかわからず、

ちらりと飛田へ助けを求める。

しかし、飛田が言葉を発する前に何かを感じ取ってくれたらしい。

「まあ、飛田さんのお知り合いの方ですね。

どうぞどうぞ、汚い家ですけど、お入りください」

（飛田さんの知り合いってだけで、

初対面の相手を簡単に家へあげちゃうなんて大丈夫なのかしら……）

　だが逆に考えれば、

それだけ飛田のことを信頼しているといえるのかもしれない。

（こんな頼りなそうなのにねー。まぁ、嘘はつけなそうよね）

　感心しながら前に立つ飛田の後ろ姿を眺めていると、

ふいに青年が振り返ってきた。

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