ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その５

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

一

ⅴ

『なるほど。あそこの旧街道ですか。……わかりました。

見つかったら連絡しますから。

携帯の電話番号教えていただいてもいいですか？』

　柔らかな声で尋ねてくる飛田に善郎はつっけんどんな答えを返す。

「芽衣子に訊いてくれ。俺は覚えとらん」

『わかりました。じゃあ、芽衣子さんと代わってください』

　どんなに冷たくあしらっても冷静に応対してくる飛田の態度に、

善郎は小さく溜め息をついた。

「……わかった。その、悪かったな」

　昨日のことを含めて謝ると、飛田が不思議そうに問いかけてくる。

『何がですか？』

「……いや、わからんのなら、いい」

『あ、はあ……』

　戸惑ったような声を最後に携帯を耳から離した。

「芽衣子、ほらよ」

　芽衣子に渡すと、芽衣子が受け取りながら睨んできた。

「お父さん、ちゃんとあとでお礼くらい言ってよね」

「いいから代われ」

「はいはい。あ、飛田君？　うん、うん……」

　朗らかな声とともに芽衣子が部屋から出ていく。

「ふん……」

　やはり面白くない。

幸せそうな芽衣子の声を背に、善郎は鼻を鳴らした。

一つ前を読む　　　 GPの部屋に戻る　　　次を読む