ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その５４

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

三

ⅹⅸ

「ところどころわからんのだから仕方ねえだろうが！

文句があるならあんたが読め！」

「え？

お義父さんこの石に書いてるある文字を読んでいたんですか？」

「そうだ。

古文書にある文字をつき合せてわかる文字を読んでみたんだが、

これ以上はわからん！」

　ふん、とそっぽを向く山波を律子はまじまじと見つめる。

古文書を読んだだけで石の文字が読めるようになるとは

思ってもみなかった。

（このお義父さん、もしかしてすごい人なのかしら？）

　これまでの態度を思い返し内心で焦るこちらをよそに、

話が進む。

「そこに同じ文章が書いてあるってことですか？」

「ああ。だが、読めん字があって頭が痛くなっちまった」

「さすが年の功……じゃなくて、お義父さん博識なんですね。

古字なんて読める人獣人以外で初めて会いましたよ」

　とりあえず褒めておこう。

そうすれば先ほどの粗略な態度を取っていたことも

気にならないはずだ。

しかし、そんな浅はかな考えなど山波は気づいていたらしい。

「俺はあんたの父親じゃねえ！

それに、これくらいなら会長やみのり様のほうが

数段早く解読できるぞ」

　声を荒げながらも謙遜してくる山波に律子は苦笑する。

煽てて気をよくしてもらおうと思ったのも事実だが、

それだけではないのだ。

律子は山波機嫌を直してもらおうと、思ったことを口にした。

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