ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その６４

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

四

ⅸ

　それでは言ってることとやってることが違うではないか。

（この狼野郎！

それじゃあ説得力の欠片もねえじゃなねえか！）

　おもいきり睨んでやると、狼谷が視線を逸らす。

だが、険悪な雰囲気をよそに飛田が喜びの声をあげた。

「そうなんですか！　それはめでたいことですね！」

「そうなの。もう２人の世界って感じで、

私なんてなかなか会話に入っていけなかったんだから」

「そうだったんですかあ」

　にまにまする飛田を前に、狼谷の耳が垂れる。

「あいつは！　……あいつはそんなんじゃねー」

　尻すぼみになっていく狼谷の言葉に心底イラつき、

善郎は引導を渡す。

「そうだろうがどうだろうがいいからでていってくれ！」

　断固として言い放った言葉に対し、

隣にいた野木崎が口に手をあてた。

「あ、そうだわお義父さん！

満君にこの石の解読を手伝ってもらうのはどうでしょう？」

　まるで今の言葉を聞いていなかったかのような野木崎の口調に、

苛立ちが募る。

机に散らばっている石を集めながら見てくる野木崎へ、

善郎は再度声をあげた。

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