ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その７７

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

五

ⅲ

「あら飛田さんどうしたの？　角が出てないじゃない」

　おもむろに振り返った野木崎が、飛田を見つめた。

「え？　あ、本当だ」

　頭を確認して呆ける飛田を前に、和子が首をかしげる。

「そういえば、飛田さん。あなた会社は大丈夫なの？」

「あ！　そうよ。あなた会社は？　今日お休みなの？」

　野木崎と和子から同時に問われ、飛田が文字通り飛び上がった。

「あ！　しまった！　どどどどどどどどうしよう！」

　善郎は呆れ半分で飛田を見やる。

よく見ると、少しだけ頭が盛りあがっているがわかった。

「と、飛田さん！　お、落ち着いて。角が出始めてるわ」

　野木崎が指摘するのも構わず、飛田は居間へと駆け込んだ。

「僕、ちょっと電話してきます！」

　携帯を片手に宣言して部屋の奥へ入っていく飛田を眺めながら、

芽衣子はあんな奴のどこがいいのだろう、としみじみ思った。

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