ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その８

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

一

ⅷ

「さて、それじゃ始めますか」

　大輔を見送り、

律子は端に停めた自転車の籠からベージュの鞄を掴み、

境内へと踏み込んだ。

「まずは何から探そうかしら」

　おもむろにベージュの上着のポケットから

折り畳まれた紙を取り出す。

それは昨夜インターネットで調べ、印刷したものだ。

　得られた情報は峰音寺で書かれてあったことと同じで、

峰音寺の境内の一部に蜂万社があり、

雪姫の命で柚祈の蜂万神社へ移動したというくらいだった。

新しくわかったことと言えば、

同じ柚祈にある霜山蜂万神社とも縁があるらしいことと、

雪姫様がこの蜂万神社に氷玉を奉納したということくらいだ。

「やっぱり黄金梅を咲かすってことは

雪姫様に関係したものからのほうがいいわよね。

あっ、でもその前に参拝しなくちゃ」

　律子はむき出しの水道で手を清め、寂れた本殿へ参拝を済ませる。

これでよし、と満足し顔を上げると、

脇に矢印が描かれている看板を見つけた。

「あっちに何かあるのかしら？」

　興味を注がれ、看板の示す先へ赴く。

するとすぐに本殿よりずいぶんと小さな茅葺屋根の建物が眼前に

現れた。

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