ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その８１

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

五

ⅶ

「すみません、皆さん。僕、急いで会社へ行かないと……」

　萎みきった風船のような様子で告げてくる飛田へ、

野木崎が目をしばたたかせる。

「え、そうなの？　まぁ、お仕事じゃ仕方ないわよね」

　納得しかけた野木崎が再び顔をあげた。

「って、待ってよ。私はどうすればいいのよ」

「帰りに新しい自転車持ってきますから。

それまでここで待っていてください。じゃあ！」

　飛田へ詰め寄る野木崎をよそに、

飛田が鞄を持って玄関へと向かう。

（なんだって？）

　善郎は飛田の発言を聞き、目を剥いた。

「おい！　ちょっと待て！　勝手に決めるな！」

　小走りに家を出ていく飛田へ向い、善郎は垣根越しに叫ぶ。

だが、飛田はさっさと車に乗り込んでしまった。

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