ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その９４

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

五

ⅹⅹ

　和子に向かって小声で言う野木崎の言葉が聞こえてくる。

「なんだかんだ言っても優しいですね」

「素直じゃないんですよ」

　にっこり微笑む和子を横目に見て、善郎は咳払いをした。

「ま、こんなところじゃないか？」

　わざとらしくないよう立ちあがり、

胸を反らせて並べた石を指し示す。

「なんて書いてあるんです？」

　尋ねてくる律子を前に、善郎は腕を組んだ。

「おそらく『くんふうのゆうへ

あつきほのおうみしたからのしよ』だろう」

　我ながら上手い具合に並べたものだと悦に入っていると、

野木崎が困ったように見つめてくる。

「……えっと、日本語でお願いします」

　善郎は溜め息をつき、もう一度言い直した。

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