ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その９６

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

五

ⅹⅹⅱ

「うわー、お義父さん、すごい！！」

「う、うむ……。まあ、なんだ。それほどでもない」

　素直に喜ばれて善郎は頬を熱くする。

こんなに手放しで褒められたことなどめったにない。

（最近の若いもんは乗せるのが上手いな……）

　鼻を掻きながら居心地悪い気分で膝を組み直していると、

野木崎が首をかしげてきた。

「こんな短い文でそこまで深読みできるなんて！

謎解き名人か何かなんですか？」

　野木崎の言葉に善郎は眉根を寄せる。

（謎解き名人って……）

　少しズレた質問はわざとなのだろうか。

善郎は野木崎の顔を見つめるが、

彼女は不思議そうにこちらの答えを待っているだけだ。

「いや、単に『梅の実を守る会』に所属しているだけだ」

　善郎はかぶりを振って正直に告げる。

「え、お義父さん『梅の実を守る会』の人なんですか！

すごい人だったんですねー」

　三度（みたび）の賛美を前に悪い気はせず、

善郎は少しだけ胸を張った。

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