Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
一
@
「ねえ、まだ来ないの?」
民宿「わさび谷」のエントランス前で、
梅宮みのりが面倒くさげに尋ねてきて涼介は目をまばたいた。
口を開けば喧嘩腰でくるみのりが、
ずいぶんナチュラルな口調で自分に話しかけてくる。
(めずらしいこともあるもんだ)
涼介はすぐに返答しようとして、はっとした。
物憂げな表情のみのりを目にするなり言葉を見失う。
長い黒髪に透き通るような白い肌名のも印象的だが、
その上桃色の唇の上に揺れる長い睫が実に魅惑的だった。
(だまってれば綺麗なんだよなあ、本当に……)
見惚れしまったことを言い訳するかのように独白して、
涼介はいつの間にか詰めていた息を吐きだす。
友永がこんなふうに2人でいるところを見たらなんと言うだろうか。
性格に難があるとはいえ、外見は文句なしの美人である。
勘違いされても悪い気はしないだろう自分を想像して、頬を熱くした。
(いやいやいや、俺嫌われてるんだから)
少年時代のことを思いだしただけでも凹むのに、
それこそ毛虫の如く嫌われている今現在の状況を思うと心が沈む。
(でもまあ、しばらくは我慢してもらうしかないよな……)
涼介は返答がないことが不満なのかキッと睨みつけてきたみのりへ対し、
宥めるため両手を広げてみせた。
to be continued...
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