Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
ID
涼介が去った後も、彼に抱きしめられた感触が消えずにいる。
みのりは身悶えたくなる気持ちを、腕を組むことで誤魔化した。
(もうなんなの!)
紅が一人で二人の獣人たちを相手にしているというのに、
非常識にもほどがある。
わかってはいても中々、
気持ちを切り替えることができずにいた。
そんなこちらに冷水を浴びせるかのように突如、
太一の叫び声が聞こえてくる。
「う、うわぁぁぁー!!」
とうとう車の中にいる少年にまで敵の手が伸びて
しまったのだろうか。
涼介のことばかりグルグル考えていたことなど
一瞬にして遠くへ追いやり、みのりは声のする方へ視線をやった。
(太一君!)
一人置き去りにされ、外の様子が気になったのだろう。
こちらを窺うように少年がそろりと車内から顔を出していた。
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