Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IE




(ちょっと何やってるのよあの子! 涼介はどうしたの)


 太一を守るために去って行ったはずの男を探す。

青年の姿はすぐに見つけられた。

自分たちがいる場所と車のある場所の真ん中あたりで

立ち往生しているようだ。

他の人たちが狸と応戦している中を邪魔しないように

配慮しているのだろう。

なかなか先へ進むことができないみたいだった。


(太一君お願いだから車の中に戻って!)


 しかしこちらの願いは空しく、太一は車から降りてしまった。

少年の気持ちはよくわかる。

自分一人だけが安全な場所にいること状況に

耐えられなくなったのだろう。


(涼介のバカ! 太一君に何かあったらあいつのせいだわ)


 みのりは未だ車へ近づけず、

立ち往生している青年へ向かって内心で悪態をつく。

そんな中、太一を捕まえようと新たに狸の獣人が近づいていた。


(危ない!)


 だが太一へ伸ばされた手は、

彼が急に走り出したことによって空振りに終わる。

空(くう)を掴んだ手に驚いた様子の狸だったが、

諦めるつもりはないらしい。

大人気もなく太一を追いかけ

身体全体を使って組み敷こうとしている。


(太一君!)


 もう駄目だ。捕まってしまう。悪い予感が脳裏をよぎる。

しかし、寸でのところで別の狸を相手にしていた碧が

割り込んできた。










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