Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
IE
(ちょっと何やってるのよあの子! 涼介はどうしたの)
太一を守るために去って行ったはずの男を探す。
青年の姿はすぐに見つけられた。
自分たちがいる場所と車のある場所の真ん中あたりで
立ち往生しているようだ。
他の人たちが狸と応戦している中を邪魔しないように
配慮しているのだろう。
なかなか先へ進むことができないみたいだった。
(太一君お願いだから車の中に戻って!)
しかしこちらの願いは空しく、太一は車から降りてしまった。
少年の気持ちはよくわかる。
自分一人だけが安全な場所にいること状況に
耐えられなくなったのだろう。
(涼介のバカ! 太一君に何かあったらあいつのせいだわ)
みのりは未だ車へ近づけず、
立ち往生している青年へ向かって内心で悪態をつく。
そんな中、太一を捕まえようと新たに狸の獣人が近づいていた。
(危ない!)
だが太一へ伸ばされた手は、
彼が急に走り出したことによって空振りに終わる。
空(くう)を掴んだ手に驚いた様子の狸だったが、
諦めるつもりはないらしい。
大人気もなく太一を追いかけ
身体全体を使って組み敷こうとしている。
(太一君!)
もう駄目だ。捕まってしまう。悪い予感が脳裏をよぎる。
しかし、寸でのところで別の狸を相手にしていた碧が
割り込んできた。
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