Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
IF
「おやおや、子供にまで手を出そうとするなんていけない方ですね」
碧がそばにいるのならば太一はもう大丈夫だ。
無意識に止めていた息を吐き出し肩の力を抜く。
「お嬢さま!」
油断していたところを見計らっていたかのように、
前で戦っている紅の脇を掻い潜り狸が刃物を振りかざしてくる。
とっさのことに動くこともできず、
みのりは瞳を大きく見開いたまま頭上にある鈍く光る刃先を見つめた。
「させない!」
別の狸と応戦していた紅が、刃物を持った狸の前へ躍り出る。
華奢な体全身を使って後ろへ逃げるよう押してくる彼女の視線は、
いつでも振り下ろされてもいいように刃物だけを見ていた。
「太一君! 大丈夫かい?!」
一触即発の空気の中、
涼介がやっと太一の元へたどり着けたようだ。
しかし、心配気な涼介の声を遮るように太一が大きな声をあげる。
「わぁぁぁー!」
「た、太一君?!」
戸惑ったような青年の声音に、
何が起きたのか気になりみのりはちらりと視線を送った。
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