Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
IG
(え? ちょっとなんで太一君が走ってくるの?)
てっきり涼介のもとへ駆けこんでいるのかと思っていた
太一の姿はそこにはなく。
なぜか目を瞑ったままこちらへ向かってきている。
まさか車から出てくるとは思ってもみなかったのだろう。
走り去る子供を太一だと確認するかのように
麻里と善郎は顔を向き合いながら口を開いた。
「今の坊主か?」
「そ、そうでしたよね?」
「うわぁぁぁぁー!!」
太一はあっ気にとられる大人たちのことなど気づきもせず、
そのまま走り続ける。
「くっ! おいっ! 退くぞ!」
碧と対峙していた狸の声に、
目の前にいる2人の獣人が顔を見合わせる。
微かに頷きあったあと、徐々に距離を取り始めた。
紅が逃がしてなるものかと動く。
だが、一人の狸がその進路を阻んでくる。
おもむろにもう片方の狸が銃を持った手を上へ向ける。
「きゃあ!」
威嚇のためか、あるいは仲間を逃がすためか。
パアァッンと鋭い音が響き渡った。
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