Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IG




(え? ちょっとなんで太一君が走ってくるの?)


 てっきり涼介のもとへ駆けこんでいるのかと思っていた

太一の姿はそこにはなく。

なぜか目を瞑ったままこちらへ向かってきている。

まさか車から出てくるとは思ってもみなかったのだろう。

走り去る子供を太一だと確認するかのように

麻里と善郎は顔を向き合いながら口を開いた。


「今の坊主か?」

「そ、そうでしたよね?」

「うわぁぁぁぁー!!」


 太一はあっ気にとられる大人たちのことなど気づきもせず、

そのまま走り続ける。


「くっ! おいっ! 退くぞ!」


 碧と対峙していた狸の声に、

目の前にいる2人の獣人が顔を見合わせる。

微かに頷きあったあと、徐々に距離を取り始めた。

紅が逃がしてなるものかと動く。

だが、一人の狸がその進路を阻んでくる。

おもむろにもう片方の狸が銃を持った手を上へ向ける。


「きゃあ!」


 威嚇のためか、あるいは仲間を逃がすためか。

パアァッンと鋭い音が響き渡った。










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