Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
四
IIF
「べ、別にあんたのためじゃないんですからね。
その傷がみっともなく見えるから仕方なくよ。はいこれでいいわ」
文句を言いながら絆創膏を頬へ貼ってくれるみのりを前に、
なんとなく胸のあたりが温かくなった。
「助かったよ」
口元を綻ばせてみのりの瞳を見つめると、みのりが軽く鼻を鳴らし立ち上がった。
「碧、紅行くわよ」
「はい。お嬢さま」
踵を返すみのりへ紅が頷く。
涼介は碧たちのほうへ歩いていくみのりを眺めながら、貼られた絆創膏を擦る。
とたんに体温がじわじわと上がってくるのを自覚して、涼介は下を向いた。
「お嬢様たちを待っていたんですけどねー」
ぼやく碧の言葉に涼介は頭が煮えるようだった。
「お待たせしてすみません。碧さん」
上がってしまった熱をどうにか冷まして碧へ近づくと、
碧が柔和に微笑んでくれる。
「いえいえ問題ありませんよ。それよりもお嬢様を守ってくださって
ありがとうがとうございました、涼介君」
「あ、いえ。当然のことですから」
碧から面と向かって礼を言われると、どうにも照れた。
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