Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
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「早く! 早く、おばちゃんを助けに行こう!」
「太一君、一人じゃ危ないよ!」
宿の中へ入るや、待ちきれなかったのか太一が我先にと駆け出す。
そのあとを涼介が追いかけて行く。
しかし涼介の心配をあざ笑うかのように、
みのりたちが『すずらんの間』の前に到着すると
厳つい顔をした男が太一を見下ろしていた。
あの男も外で襲ってきた狸の獣人たちの仲間なのだろうか。
一般客である可能性も捨てきれずにいる中、
眉間にしわを寄せている男が太一へ詰め寄った。
「なんだ! ガキんちょか!」
「太一君!」
涼介の声が廊下へ響きわたる。
「紅、碧、太一君を守って」
太一に危害が加わるのは見過ごせない。
みのりは碧と紅の顔を見る。
「わかった」
「了解しました」
こちらを見て頷くと紅と碧は、
太一を救い出そうと少年の前へ躍り出た。
だが、一歩遅かったらしい。
「え、え、何? わっ、離してよ」
自分たちの姿に気づいた男が、
こちらへ来ようとする太一の襟足を掴んだ。
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