Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




A




「離すか! お前も人質だ!」


 離してよと、暴れる太一へ男が恫喝する。

みのりは歯噛みした。


(やっぱりあの男も狸の獣人たちの仲間だったんだわ!)


 太一を先に行かせてしまった自分の失態だ。

外で襲撃してきた獣人たちの仲間が宿の中にもいる可能性を

考えていなかった。


(冷静に考えればわかったはずなのに……)


 思慮が浅かったせいで太一が犠牲になってしまった。

みのりは顔を顰める。

そんな中、碧が男から太一を奪い返そうと

じりじりと間合いを詰めていた。


「すばしっこいですねー」

「どうしたら……」


 太一が人質に取られ、

手も足も出せない状況に涼介が眉を下げる。

こう着状態が続くかと思った矢先に紅が前へ出た。


「行かせない」


 だが、太一の身を盾にしているせいで紅ですら、

中々手が出せないようだ。


「俺に攻撃してみろ! こいつの足の骨を折るぞ!」


 襟足を掴んでいたはずの男が太一の足首を持ち、

少年の逆さづりにする。


「お兄ちゃん、みのり様ー、助けてー」

「させるか!」


 太一の悲痛な声に、涼介が反応した。










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