Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
A
「離すか! お前も人質だ!」
離してよと、暴れる太一へ男が恫喝する。
みのりは歯噛みした。
(やっぱりあの男も狸の獣人たちの仲間だったんだわ!)
太一を先に行かせてしまった自分の失態だ。
外で襲撃してきた獣人たちの仲間が宿の中にもいる可能性を
考えていなかった。
(冷静に考えればわかったはずなのに……)
思慮が浅かったせいで太一が犠牲になってしまった。
みのりは顔を顰める。
そんな中、碧が男から太一を奪い返そうと
じりじりと間合いを詰めていた。
「すばしっこいですねー」
「どうしたら……」
太一が人質に取られ、
手も足も出せない状況に涼介が眉を下げる。
こう着状態が続くかと思った矢先に紅が前へ出た。
「行かせない」
だが、太一の身を盾にしているせいで紅ですら、
中々手が出せないようだ。
「俺に攻撃してみろ! こいつの足の骨を折るぞ!」
襟足を掴んでいたはずの男が太一の足首を持ち、
少年の逆さづりにする。
「お兄ちゃん、みのり様ー、助けてー」
「させるか!」
太一の悲痛な声に、涼介が反応した。
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