Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
B
怪我をするかもしれないなんてことは考えてもいないのだろう。
涼介が無謀にも男へ突っ込んで行く。
「碧、紅なんとかしなさい!」
みのりは側近たちへ命令する。
「簡単に言ってくれますね。おっと、涼介君ナイスアシストです」
「あ、ありがとうございます!」
涼介の攻撃は上手くいったようだ。
だが太一を解放するまではいかなかったらしい。
未だに逆さになったまま宙づりにされている。
「太一、すぐ助ける」
「太一君! もうちょっと踏ん張っててくれよ!」
「うん。が、頑張る」
紅と涼介の励ましに太一が気丈にも声を返す。
しかし、運の悪いことに部屋の中から男が顔を覗かせる。
「なんだ? 騒がしいな、どうした?」
人間に化けるのが苦手なのか、
狸の耳を黒い髪の中で動かしている男にみのりは目を瞠った。
「中から狸が!
やっぱりあの部屋に律子さんっていう女性がいるのね!」
「うお! なんだ、こいつら?!」
侵入者がいると思ってもみなかったのだろう。
狸の耳を生やしている男の髪の毛がブワッと逆立つ。
「あんたたちが女性を誘拐したってことは
わかってるんですからね!」
みのりは驚愕したまま動かない狸へ指を突きつけた。
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