Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




B




 怪我をするかもしれないなんてことは考えてもいないのだろう。

涼介が無謀にも男へ突っ込んで行く。


「碧、紅なんとかしなさい!」


 みのりは側近たちへ命令する。


「簡単に言ってくれますね。おっと、涼介君ナイスアシストです」

「あ、ありがとうございます!」


 涼介の攻撃は上手くいったようだ。

だが太一を解放するまではいかなかったらしい。

未だに逆さになったまま宙づりにされている。


「太一、すぐ助ける」

「太一君! もうちょっと踏ん張っててくれよ!」

「うん。が、頑張る」


 紅と涼介の励ましに太一が気丈にも声を返す。

しかし、運の悪いことに部屋の中から男が顔を覗かせる。


「なんだ? 騒がしいな、どうした?」


 人間に化けるのが苦手なのか、

狸の耳を黒い髪の中で動かしている男にみのりは目を瞠った。


「中から狸が!

やっぱりあの部屋に律子さんっていう女性がいるのね!」

「うお! なんだ、こいつら?!」


 侵入者がいると思ってもみなかったのだろう。

狸の耳を生やしている男の髪の毛がブワッと逆立つ。


「あんたたちが女性を誘拐したってことは

わかってるんですからね!」


 みのりは驚愕したまま動かない狸へ指を突きつけた。










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