Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
C
「みのりさん! 先に野木崎さんを! 俺がカバーするから!」
涼介は太一を逆さづりにしている厳つい顔をした男の前に立ち、
片手で首を押さえその足を払う。
男の上へ尻餅をついた太一がすぐさま男の身体から逃れ、
立ち上がろうとした。
「太一君!」
涼介は太一の手を取ろうと手を伸ばす。
だがその手は、毛を逆立て睨みつけてくる男によって阻まれた。
「なんだ! 女? 男?」
涼介は自分やみのりを見て驚いたようすの黒髪の男のシャツを、
先手必勝とばかりに掴む。
それから今一度みのりへ視線を送ると、彼女が慌てて頷いた。
「え、わ、わかったわ! 山波さんと先生も一緒に来てください!」
鋭い声音で善郎と小越へ命じるみのりに、2人も首肯する。
「がってん承知です!」
「は、はい!」
みのりの声に少しだけほっとして太一へ目を移した。
「太一君、こっちへ!」
なんとか立ち上がった太一が首肯してすぐさまこちらの背後へ回る。
涼介は片手で太一の身体を庇いつつ、もう片方の手で掴んだ目前の敵を見た。
(こいつさえどうにかできれば……)
掴んだ手に力を込めようとしている時、後方から小さな声があがる。
(しまった!)
どうやらあの厳つい顔の狸男が復活してしまったらしい。
慌てて目をやると、
部屋へ入ろうとするみのりたちの前に狸男が両目を吊り上げ立ちはだかっていた
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