Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
G
「いてぇー!!」
狸の腕を思いきり噛みつく。
男の絶叫が辺りに木霊した。
狸は鬘から手を離し、ぶんぶんと腕を振り払う。
しかし、みのりは離してなるものかと噛みついたまま
両手で狸の腕にしがみついた。
「お嬢さま、かっこいい」
「お嬢様、そのまましっかり噛んでいてくださいね」
紅の称賛と碧の進言に目線のみで頷いてみせが、
それも長くは持たなかった。
痛みから逃れようとする狸の必死さと、
噛みなれていないため顎が痛くなってしまったのだ。
気がつけば投げ飛ばされるように狸の腕から離れて行った。
「きゃあ!」
急に襲ってきた浮遊感にみのりは悲鳴を上げる。
「みのりさん!」
涼介の声が聞こえてきた。
だが、落下したあとの衝撃に耐えるため目をつぶっていた
みのりには彼がどこにいるのかわからなかった。
「うっ」
どさっという鈍い音と共に衝撃が全身を駆け巡る。
胸がつまりうめき声をあげたが、
思っていたよりも痛みはなかった。
(廊下の絨毯がふかふかだからかしら?)
内心で首を傾げながらみのりは、
そろそろと閉じていた瞼を開けた。
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