Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
IC
「坊主も好きな奴ができればわかるぞ」
好きな奴。
そんなわけがない。
そういうことじゃない。
だが、腕の中にいる柔らかな存在を離す気にもなれない。
正直、ずっとこのままでいたって構わないと思う自分もいるから困ってしまう。
(まいった。どうしよう……)
困ってさらに腕の力を強くすると、小越の声が耳に飛び込んできた。
「ちょ、ちょっと目のやり場に困りますね……」
そんなこと言わないでどうにかしてほしい。
でないと、ますますヤバい気分になってしまう。
なんだコレ? 俺はどうしたんだ?)
血液が沸騰しそうだし、胸の高まりもひどくなるばかりだ。
とにかく落ちつかなくては、と大きく息を吸い込んでいると、
碧がくすくすと笑うのが聞こえた。
「お嬢様と涼介君だけ青春なんてうらやましい……じゃなくて、
どうやら猪さんはあなた方を置いて行かれたようですね?」
「くっ!」
厳つい顔の狸男が悔しげな声をあげる。
だが、そんなことはお構いなしに太一がのんびりとした口調で話しだした。
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