Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
IE
抱きかかえたままじっとこちらを見つめてくる涼介の眼差しに、
みのりは頬を熱くさせる。
潤み出す瞳で見つめ返していると、ふいに力強く抱きしめられた。
「ぶっ」
後頭部を押され涼介の胸に顔を強打するが、
痛みよりも戸惑いのほうが大きかった。
(は? え? な、何? 涼介ってばどうしちゃったっていうの?)
みのりは突然の青年の行動に目を白黒させる。
しかし呼吸もままならない状態に、先ほどのような甘い雰囲気はなく。
みのりは涼介の背中をバシバシと叩き、空気を求めた。
ごめん、と呟かれたあと緩められた腕の中で
求めていた酸素を取り込む。
だが、鼻孔をくすぐったのは爽やかな石鹸の匂いでも、
涼介の体臭でもなかった。
薬品臭い粉っぽい匂いにみのりはハッとする。
急いで涼介の腕の中から離れ、辺りを見回す。
もくもくと白い煙が廊下を充満し始めていた。
本格的に視界が悪くなる前に2人の狸の獣人たちを逃げ出さないよう
捕まえておかなければ面倒なことになる。
みのりは目を凝らし側近たちに捕まっているはずの獣人たちの姿を
探した。
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