Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IF




「おっと……」

「ごほごほごほ」


 碧の声とせき込む紅の声を頼りに視線を向ける。

案の定、狸たちは白煙に紛れて側近たちからの拘束から外れていた。


「あ! ちょっと逃げるな! 待ちなさい!」


 みのりは狸たちを捕まえようと手を伸ばす。

だが、すでに走り始めて彼らへ手が届くはずもなかった。


「へ? ええっと、うわ、何かしら? 煙? ごほごほごほ!」

「うわぁー! 真っ白で何も見えゴホゴホゴホ」


 すっかり真っ白い煙に覆い尽くされる中、

麻里の声と太一の声が響き渡る。

口に手を当てることなく声をあげてしまったのだろう。

苦しそうにせき込む音だけが聞こえてくる。

彼らが狸を追いかけることはできないだろう。

他に誰かいないか耳を澄ますが、

聞こえてきたのは咽っている山波の声だけだった。


「ごほごほごほ!」

(みんなに頼むのは無理そうね……)


 こうなったら自分が行くしかない。

幸運にも今のところ呼吸は普通にできる。

みのりはよし、と内心で呟き、こくりと頷いた。










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