Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
IG
すでに視界は白い煙で覆われ、
誰がどこにいるのかすらわからない状態になってしまっている。
それでも狸たちを追いかけるため歩を進ませようとした時だった。
背後から手を掴まれ、息を飲む。
「みのりさん、むやみに追いかけたら危ない……ごほごほごほ!」
せき込みながらも引き留めようとしてくる涼介に
みのりは目を見開いた。
少し伸ばせば自分の手すら見えなくなるほど真っ白の中、
どうして涼介はこちらの行動がわかったのだろう。
だが、問いただしたくても、
思いっきり煙を吸い込んでしまったためそれはできなかった。
煙が収まる様子もないまま騒然とする中、
碧だけが一人平然と声をあげる。
「みなさん、落ち着いてください。あの部屋に入りましょう」
周囲が何も見えない状況で言われても対応なんてできるはずもない。
みのりは簡単に言ってくる側近と、
一向に薄くならない煙苛立ちを覚えた。
「ゴホゴホ。
ちょっと、これどうにかゴホ、ならないのゴホゴホゴホ」
せき込みながら、八つ当たり気味に声をあげる。
涼介に掴まれていた手が軽くなった。
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