Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
IH
みのりは急になくなった温もりに心細さを感じ、
掴まれていた腕を抱え込む。
ほどなくして涼介の声が少し離れた場所から聞こえてきた。
「ごほごほごほ、これでどうだ!」
廊下の窓を開けに行ってくれたのだろう。
ガラガラという音と共に白い煙が一方向に動き出す。
徐々に薄まっていく煙幕に比例して
みんなの姿をとらえることができた。
山波と麻里が太一を守るように両端に座っている。
碧と言えばちゃっかり咳込んでいた紅の背中を撫でていた。
まだ若干の息苦しさは残っているものの
視界がはっきりしたおかげで気分も晴れたような気がする。
狸を逃してしまったことは悔しいが、
みんなが無事なことにホッと息を吐き出す。
「の、野木崎さんは……?」
「煙幕も薄くなったことですし、部屋へ入りましょう」
おもむろに聞こえてきた涼介の言葉に
紅の隣にいた碧が立ち上がった。
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