Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
II@
「いま外しますから」
涼介は野木崎の背後へ回り込み、縛られている手を見る。
思った以上にしっかりと結び付けられた紐に内心で舌を打っていると、
みのりから声がかかった。
「女性は無事なの?」
心配げなその声音を耳に涼介は胸を突かれた。
(やっぱり根はいい子なんだよなあ)
いじっぱりではあるが、これが本来の彼女なのだろう。
涼介はみのりの思いを汲むべく即座に返答する。
「ああ! 無事みたいだ」
「そう、よかった」
心底ほっとしているらしいみのりの言葉に口元を綻ばせつつ縛めを解きにかかると、
後方から足音がした。
「律子さん! 無事ですか!?」
野木崎の元へへ駆け寄ってくる小越を目にして、
涼介は野木崎の口元の布をはぎ取る。
苦しげな声を発していたのに肝心なことを失念していた。
ぷっはー、と荒い声で必死に呼吸する野木崎を見て心が痛んだ。
(これがもしみのりだったら……)
おそらく冷静ではいられないだろう。
そんな思いが頭を過る。
眉根を寄せて野木崎に縋りつく小越を眺めながら、
涼介は少しだけ申し訳ない気持ちになった。
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