Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IIA




 必死で硬い結び目と格闘する。

こんなことならナイフくらい持ち歩いて置くべきだった。

唇を噛み締めていると、傍へ寄ってきた碧が野木崎のそっと身体を確かめた。

「外傷はなさそうですね……。痛いところなどはありますか?」

 静かな声音で尋ねる碧へ向かい、

戸惑った様子を見せながら野木崎が頭をさげた。

「あ、ありがとうございます。

ところでなんで太一君がここに? って、麻里さんまで!」

 周囲を見渡した野木崎が太一と野木崎の顔を認めるなり素っ頓狂な声をあげる。

「律子さんが連れ去られたというので、助けにきたんです!」

 小越が持っていた黒のヒールを置き野木崎の不自由な手を取った。

(ちょっと……やりにくいんだけど……)

 野木崎へ力説する麻里の行動に眉を顰めていると、

野木崎が茫然としたような声を発する。

「助けに……こんなに大勢で?」

 どうやらまだ事態が飲み込めていないようだ。

説明をするべきか悩んでいると、野木崎の目が山波の前で止まった。

「あ、山波さん」

 緊張感のない声で名を呼ぶ野木崎を前で、山波が膝をつく。

「よかったなあ! よかった! 怖かったろう! よかった!」

 一際大きな声でしきりに頷いていた山波が、

やおらぐすぐすとすすり泣きを始め涼介は内心で困惑した。










一つ前に戻る   GPの部屋に戻る   次を読む





QLOOKアクセス解析