Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IIC




(この子でも泣く時があるのか?)

 それはどんな泣き顔だろう。

もしそんな時が来たのなら、できればその隣に入れたらいい。

そんなことまで考えて、はたと気づいた。

(こんな時に何考えてるんだ、俺は……)

 自分の思考の恥ずかしさに血液を沸騰させていると、

太一が小さく叫んだ。

「おじちゃんもお姉ちゃんも泣かないでよ!

ぼくだって、ぼく、だって……ぼく……」

 声を淀ませ太一までが涙を流しだし、野木崎が慌てた声をあげる。

「え、ちょ、ちょっと麻里さんまで泣かなくても……え、太一君も泣いちゃうの?」

 驚きつつ野木崎が太一の背中を擦る。

彼らの泣き声は徐々に大きくなり誰かが咎めにくるのではないか、

と憂慮していると、碧の声がした。

「みなさん、感動の再会はそれくらいにして。とりあえずこの部屋から出ましょう」

 碧の声がしたと同時に足の縛めを取り払う。

涼介はほっと息をついて立ち上がながら、涼介は碧へ頷いた。

「そうですね」

 それから野木崎の前へ立つと静かに尋ねる。

「野木崎さん。立てますか?」

 ゆっくりと手を差し伸べると、野木崎が目を瞬かせた。










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