Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
五
IIF
こめつきバッタのようにお辞儀を繰り返す律子を
どうやって静止させようか考えていると、
麻里が嗚咽を交じらせながら割り込んできた。
「本当に……無事で……ずずっ……うっうっうっ」
律子の安否を目の前で確認できてタガが外れてしまったのだろうか。
周囲の目など気にすることなく子供のように泣く麻里の姿に、
みのりはあっ気にとられていた。
(小越先生って情にもろいのかしら?……って山波さんまで?)
太一を慰めるため脇に避けていたはずの山波が、
太一を連れ律子と麻里の間に入ってくる。
小学生の太一よりも感涙にむせぶ麻里に
引きずられてしまったのだろうか。
山波が怖面の顔は涙で濡れていた。
その隣では、麻里よりも小さな声で太一がすすり泣いている。
一向に収まる気配のない3人に苦笑していると、
ふいに紅が話しかけてきた。
「お嬢さま、わさび谷行こう? 雪姫泣いてるかも……」
「あ、そ、そうよね」
眉を下げ心配そうな表情を滲ませている紅の言葉に、
みのりは眠っていたため宿に置いてきた雪姫のことを思い出した。
いくら自分たちにしか見えないとはいえ、
いつ目が覚めるかもわからない雪姫を置いてきてしまったことは
浅慮だったかもしれない。
みのりは雪姫の元へ1秒でも早く戻れるように、
未だに律子の手を握り締めたまま泣き続けている麻里たちの間へ入った。
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