Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
B
「噂をすれば、ね」
みのりが愉快げに肩をすくめるのと同時に、ふすまが開かれる。
「遅くなってごめんなさい。あと、おはようございます!」
きちんとお辞儀をしてくる太一が微笑ましく、
涼介は先刻も告げた言葉を改めて口にした。
「おはよう、太一君」
「おにいちゃん、おはよう」
太一もふわりと微笑みつつ律儀に返答する。
どうやら着替えると言ったあのあともう一度眠ってしまったらしく、
後ろ髪が寝癖でぴんと跳ねていた。
(こういうのって教えてあげたほうがいいんだろうなあ……)
とは言え、そろそろ色々なことを気にする年頃である。
女性たちがいる前で言われたくはないだろう。
後でそっと耳打ちでもすることにしよう、と一人頷いていると、
碧が太一へ応えた。
「まだ始まっていないので大丈夫ですよ。それではみなさんもそろったとこですし、
朝食を用意してもらいましょうか」
碧が立ち上がり電話を手にする。
女将を呼ぶためプッシュホンを押す碧を前にぼんやりと朝食を思い浮かべていると、
ふいに腹が鳴り涼介は赤面した。
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