Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
D
「涼介君、それを今から話し合うんですよ」
自分の子供っぽい対応に苦笑しているのだろう。
笑いをこらえているような碧の声音に、
みのりは視線を戻すことができないでいた。
しかしそんな側近の態度を涼介は、
自分自身に向けられたと勘違いしてしまったようだ。
どこか不満気な声が聞こえてくる。
「それはそうなんでしょうが……」
ちらりと涼介を見ると、
構ってもらえなくてふてくされている子供のような顔で
碧へ視線を送っていた。
一瞬の沈黙のあと、扉を叩く音が聞こえてくる。
はい、と碧が声を発すると同時にふすまが開き、
膳を持った女将と仲居たちがぞろぞろと部屋の中へ入ってきた。
「お待たせいたしました。ご準備させていただきます」
「ああ、女将。よろしくお願いします」
4人がけテーブルを2つ合わせたテーブルの上に
次々と足の短い漆器の膳が乗せられて行く。
右側の膳には揚げ出し豆腐、のらぼう菜のお浸し、
鰆の西京焼き、ブロッコリーが乗ったポテトサラダが置かれている。
左側の膳には大きめの空のお椀と豆腐とわかめの味噌汁。
出し撒き卵、漬物、昆布や蕗、海苔の佃煮、
そして梅干しが乗っていた。
中央には雪姫のためか、
かまくらのような白いかまぼこの形をしたアイスが中央に置かれる。
すべての膳が配置されると、女将がそれぞれのお椀にお粥を装う。
「それでは、ごゆっくりお召し上がりください」
「ありがとうございます、女将」
ものの数分で朝食の準備を終えてしまった。
礼をして出ていく女将に碧が声をかけ見送ろうと後へ続く。
みのりは感謝の意を込めて、女将に目礼した。
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