Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
E
「いい匂いマロー」
女将が出て行くと同時に両手で持っていた小さな竹籠が
微かに揺れる。
綿入りの布を敷き詰め、ハンドタオルからもぞもぞと顔を覗かせる
雪姫の姿にみのりは微笑んだ。
「雪姫、起きたの? おはよう」
アイスの近くへ籠を置くと、
目をこすりながら雪姫が籠の中から出る。
その姿に、一人を除いて全員が受け入れ始めていることに
みのりは感心した。
(意外とみんな順応早いわよね)
小学生である太一ならばわかるが、麻里や善郎といった大人たち
までもがあっけなく受け入れてしまっているのだから不思議だ。
(まぁ、実際に動いて話している雪姫を見ちゃったら
受け入れざるを得ないってことかしら?)
黄金梅に関係している人のみに見えると推測されているが、
果たして律子は雪姫のことを見えているのだろうか。
みのりは期待を込めて彼女へ視線を送った。
「! 人形がしゃべった……」
律子の驚きぶりにみのりは内心でほくそ笑む。
彼女の瞳はこれ以上ないほど大きく見開かれていた。
それはつまり雪姫のことが見えているということだろう。
これで自分たちの予測が正しいと立証されたはずだ。
みのりは恐るおそる雪姫へ近づこうとしている律子をじっと見つめた。
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