Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
F
「それがなあ、そいつは人形じゃないらしいぞ」
山波の声に律子が雪姫へ伸ばしていた手を空中でとめる。
「え! 人形じゃないんですか?」
言葉の真意を確認するためか、
山波と雪姫を交互に見る律子に対し今度は麻里が間に入ってきた。
「そうなんです。なんでも雪姫様ご本人らしいんですよ」
囲うように雪姫の前に3人が立つ。
しかし雪姫はテーブルに並べられている食べ物のほうが
気になるらしい。
観察されていることなど気づきもせず、
皿の周りをグルグルと回っていた。
「やっぱり野木崎さんにも雪姫が見えているんですね」
律子の行動を見れば答えは一目瞭然なのだが、
確認のため背後から話しかける。
こちらから声をかけられるとは思ってもみなかったのだろう。
勢いよく振り返った律子と目が合う。
「え、ええ! 雪姫様って、あの雪姫?
……その、なんていうか、ずいぶんと小さいのね」
「ですよね」
未だに信じられないといった律子に、麻里が頷きながら同意した。
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