Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




F




「それがなあ、そいつは人形じゃないらしいぞ」


 山波の声に律子が雪姫へ伸ばしていた手を空中でとめる。


「え! 人形じゃないんですか?」


 言葉の真意を確認するためか、

山波と雪姫を交互に見る律子に対し今度は麻里が間に入ってきた。


「そうなんです。なんでも雪姫様ご本人らしいんですよ」


 囲うように雪姫の前に3人が立つ。

しかし雪姫はテーブルに並べられている食べ物のほうが

気になるらしい。

観察されていることなど気づきもせず、

皿の周りをグルグルと回っていた。


「やっぱり野木崎さんにも雪姫が見えているんですね」


 律子の行動を見れば答えは一目瞭然なのだが、

確認のため背後から話しかける。

こちらから声をかけられるとは思ってもみなかったのだろう。

勢いよく振り返った律子と目が合う。


「え、ええ! 雪姫様って、あの雪姫?

……その、なんていうか、ずいぶんと小さいのね」

「ですよね」


 未だに信じられないといった律子に、麻里が頷きながら同意した。










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