Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
一
ID
「ど、どういう関係って、なんの関係もないわよ!」
短い黒髪の小越と呼ばれている女性に尋ねられみのりが語気を強める。
どうやら高等部の先生らしいがずいぶん頼りない印象だ。
どちらかと言えば小動物のようなかわいらしさがある。
(みのりさんとは対照的だなあ)
両手をぐっと握り締めて仁王立ちしているみのりを眺め、ふと息を吐く。
まあ、自分も彼女との関係を誤解されたくはないが、
それにしたってもう少し言い方があるのではないだろうか。
(とりあえず全然関係ないわけじゃないのになあ……)
内心でぼやいていると、小越が不思議そうに首をかしげた。
「そうなの? 確かお兄様がいらっしゃるとか聞いてたんだけど……。
あ、でもそういえば苗字が違うわね」
小越が人差し指を頬に押しあてみのりへ微笑む。
「あ、そういう意味ね……なんだ見合い相手ってバレたのかと思った」
胸に手をあてぽそりと呟くみのりの言葉に小越が目をしばたたかせた。
「え? 何がバレたの? 校則違反はダメよ」
真剣にみのりを諭そうとする小越を前に、涼介は噴きだしそうになる。
(ちょっとズレてるけどかわいい人だな)
肩を震わせ笑いを堪えていると、みのりが慌てたように手を振った。
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