Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




I




「美味しい! この出汁巻き卵普通のとは少し違うわね」

 律子が黄色い出汁巻き卵を一口くちに含み目を見開くと、

横にいた小越も微笑む。

「ご飯がおかゆになっているのもありがたいですね」

 涼介は小越の言葉に内心で頷きながら、蕨(わらび)のお浸しを口へ運ぶ。

柔らかな出汁の風味と甘味、それから微かな苦みが口中へ広がった。

(美味い……)

 昨日は夕飯も碌に食べないでいただけに、こうして食べる朝食に幸福を感じる。

(無事に帰ってこられてよかったよなあ……)

 よく考えたらかなり危ない橋を渡ったのかもしれない。

しみじみ朝食の美味しさに浸っていると、

紅の御膳の端へ座っていた雪姫が声をあげた。

「わらわは、このちべたいアイスなる代物が美味マロー」

 雪姫の言葉で涼介は我に返る。

(アイス……、氷か……)

 そういえば、雪姫は氷を所望する、と言っていた。

氷と言えばコンビニの氷かと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。

そうでないとしたらなんだろう。

昨夜眠る直前、ふとそんなことを考えた。

種を植えた時にでてきたあの鉄の取っ手、

それと同時期に生まれでた雪姫の存在。

それらを考えると、一つの仮説に行き当たる。

(まあ、確証はないんだけどさ……)

 涼介は持っていた箸を置いて口を開いた。

「そういえば、雪姫様の氷のことなんですが……」

 おずおずと言葉を紡ぐと、雪姫の瞳が輝く。

「氷見つかったマロ!」

 期待を込めて尋ねられ、涼介は少しだけ居心地の悪い気分になった。










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