Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IB




 太一が意気揚々と部屋を出て行く。

それはまるで、飼い主にボールを取ってこいと言われ

駆け出す子犬のようだった。

みのりがそんな太一の後ろ姿にくすりと微笑んでいると、

おもむろに涼介が口を開く。


「小越さんが持っているのはどんな形をしてるんですか?」


 麻里へ向かって話しかける青年の声に、

扉へ向けていた視線を彼女へと向ける。

話しかけられるとは思っていなかったのだろう。

大きな口を開けてご飯を頬張っていた麻里は瞳を見開き、

慌てた様子で咀嚼を繰り返していた。


「ええっと……

ちょうどスケスケの台座みたいな感じなんですけど」


 みんなの視線を感じ恥ずかしそうに目線をさまよわせながら

口を開いた麻里の言葉を、涼介が繰り返す。


「台座か……」

「涼介君たちは『取っ手』で、先生は『台座』……」


 みのりはテーブルの上に置いた金属片を眺めた。

そして再確認するように呟かれた碧の言葉尻に続く。


「それで私たちが『歯』よ。それで何が作れるのかしら?」


 鈍く光る金物を見つめても、何ができるのか皆目見当もつかない。

みのりはふぅっと息を吐き出し、

お手上げという意味を込めて肩を竦めて見せた。










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