Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
IB
太一が意気揚々と部屋を出て行く。
それはまるで、飼い主にボールを取ってこいと言われ
駆け出す子犬のようだった。
みのりがそんな太一の後ろ姿にくすりと微笑んでいると、
おもむろに涼介が口を開く。
「小越さんが持っているのはどんな形をしてるんですか?」
麻里へ向かって話しかける青年の声に、
扉へ向けていた視線を彼女へと向ける。
話しかけられるとは思っていなかったのだろう。
大きな口を開けてご飯を頬張っていた麻里は瞳を見開き、
慌てた様子で咀嚼を繰り返していた。
「ええっと……
ちょうどスケスケの台座みたいな感じなんですけど」
みんなの視線を感じ恥ずかしそうに目線をさまよわせながら
口を開いた麻里の言葉を、涼介が繰り返す。
「台座か……」
「涼介君たちは『取っ手』で、先生は『台座』……」
みのりはテーブルの上に置いた金属片を眺めた。
そして再確認するように呟かれた碧の言葉尻に続く。
「それで私たちが『歯』よ。それで何が作れるのかしら?」
鈍く光る金物を見つめても、何ができるのか皆目見当もつかない。
みのりはふぅっと息を吐き出し、
お手上げという意味を込めて肩を竦めて見せた。
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