Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IC




「みのりさんたちは何かの『歯車』……」


 ぽつりと零した涼介も言葉にみのりは目を見開く。


「これ『歯車』なの?

ギザギザしてるから何かを刻むものだと思ってたわ……」


 しかしスマホを取り出し何やら調べ始めた涼介には

聞こえていないようだった。

同意を求めようと山波へ視線を送る。


「ねえ山波さんもそうでしょう?」

「ええ。どちらかというとがりがりとやるように思いましたな」


 すぐさま賛同してくる山波の言葉に興味を惹かれたのか、

律子が指先でちょんちょんと金物をつついた。


「円形の大根おろし金のようですね、これ……」

「おろし金……ガリガリかあ……」


 目線をスマホへ向けたまま律子の感想には反応する涼介に、

みのりはムッとする。


(私の言葉は無視するくせに、野木崎さんの声は聞こえるのね!)


 眉間にしわを寄せ涼介へ睨みつけていると、

パタパタと走ってくる足音が聞こえてきた。


「お待たせー! はー、疲れた。

お兄ちゃん持ってきたよ。はい、これでしょう」


 太一が息を切らせ満面の笑みを向けて入ってくる。

得意気な顔を見せる少年のあどけない表情に

ささくれ立った気分が吹き飛んだ。










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