Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
ID
「ありがとう! 太一君」
涼介は、にっこりとほほ笑みながら太一から差し出されたものを
受け取る。
そしてみんなに見えるように『取っ手』を、『歯』の横へ置いた。
「これなんですけど……」
みのりは先ほど苛立っていたことも忘れ、涼介に話しかける。
「『取っ手』ってこれなの?
ドアとかについてるものを想像してたわ」
山波や麻里、律子も同じように思っていたらしい。
こちらの言葉に激しく頷きながらまじまじと涼介の置いた
『取っ手』を見つめている。
「いや、これは何かをくるくる回すような……あ!」
何か思いついたのだろうか。涼介が再びスマホを操作し始める。
固唾を飲んで見守る中、
ふいにアイスに夢中になっていたはずの雪姫騒ぎ出した。
「氷ー! わらわの氷ー!!」
雪姫が一直線に『歯』へ向かって走る。
用意されたお膳などが行く手を阻むが、
彼女の目には映っていないようだった。
「雪姫、危ない」
ためらうことなく歯先へ近づこうとする雪姫を、紅が止める。
あんな小さな体が歯の上に乗ってでもしたらと考えるだけで
みのりはぞっとした。
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