Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




ID




「ありがとう! 太一君」


 涼介は、にっこりとほほ笑みながら太一から差し出されたものを

受け取る。

そしてみんなに見えるように『取っ手』を、『歯』の横へ置いた。


「これなんですけど……」


 みのりは先ほど苛立っていたことも忘れ、涼介に話しかける。


「『取っ手』ってこれなの?

ドアとかについてるものを想像してたわ」


 山波や麻里、律子も同じように思っていたらしい。

こちらの言葉に激しく頷きながらまじまじと涼介の置いた

『取っ手』を見つめている。


「いや、これは何かをくるくる回すような……あ!」


 何か思いついたのだろうか。涼介が再びスマホを操作し始める。

固唾を飲んで見守る中、

ふいにアイスに夢中になっていたはずの雪姫騒ぎ出した。


「氷ー! わらわの氷ー!!」


 雪姫が一直線に『歯』へ向かって走る。

用意されたお膳などが行く手を阻むが、

彼女の目には映っていないようだった。


「雪姫、危ない」


 ためらうことなく歯先へ近づこうとする雪姫を、紅が止める。

あんな小さな体が歯の上に乗ってでもしたらと考えるだけで

みのりはぞっとした。










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