Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




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「なんでもないんですよ。なんでも、そ、それよりも……」

 話題を無理やり転換させようとするみのりに胸の内で苦笑していると、

聞き覚えのないしわがれた声が聞こえてきた。

「あんれー? そこにいるのは正志と山波さんだべか?」

 振り向くと、見たことのない小太りの老人が向かってくる。

「邦夫おじさん!」

 飛田が目を丸くするのを見て、涼介は目を剥いた。

(もしかして、このおじいさんも獣人なのか?)

 見た目はどこからどう見ても完璧な人間だ。

角が飛びだしている飛田よりずっと自然に見える。

(獣人にも鍛錬とかそういうのが必要なのかな……?)

 顎に手をあて考えていると、山波も驚いた声をあげた。

「あ! あなたはご隠居!」

 慌てて会釈をする山波に微笑み、

老人が芽衣子に目を移し目をまたたかせる。

「おや、芽衣子さんまで。今日はどうしたんだべか?」

 ご隠居と呼ばれた老人の問いに芽衣子が訊き返す。

「あ、私たちは父を送り届けにきただけなんですけど。

どうしておじいさんまで?」

 芽衣子の問いにご隠居が軽く肩を竦めた。 










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