Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
IH
「あー、味を悩む紅、なんて可愛いんだ……」
碧の呟きに涼介はしばし動きを止める。
(まあ、確かにかわいいけど。碧さんは本当に妹想いなんだなあ)
少し過保護なのではないだろうか。
(兄妹仲がいいのはいいことだけど……)
行き過ぎな気がしないでもない。
(これじゃあみのりさんの恋は前途多難かもな……)
ちらりとみのりへ視線を送るも、彼女はかき氷器の部品に夢中である。
(まあ、こっちも重要だけどさ……)
などと考えていると、みのりが突如目を合わせてきた。
「先生が持ってる台座にこれらを付ければかき氷器ができるって言いたいの?」
瞳を覗き込んでくるみのりに慌てつつ、涼介は頷く。
「ああ、たぶん」
どぎまぎしながら答えると、雪姫がテーブルの上で騒いだ。
「氷は? わらわらの氷はどこマロ?」
「もうすぐ作れるみたいだよ。良かったね雪姫様」
雪姫の言葉に太一が笑みを浮かべる。
「本当マロかー」
小さな首を傾げてくる雪姫を前に、太一が元気に首を縦に振る。
「うん。ね、お兄ちゃん。それでかき氷器が作れるんだもんね」
「ああ、もうすぐ作ってあげられるよ」
期待を込め問いかけてくる太一へ涼介は心から首肯した。
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