Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
II@
麻里が突然立ち上がり部屋を出て行こうとする。
みのりは慌てて止めた。
だが、出て行こうとした彼女はなぜ引き止められたのかまったく
理解していないらしい。
(考えることが太一君と同じってどういうことよ)
太一の場合は『取っ手』を持ってきていたのだから
取りに戻っても問題はなかった。
だから引き止めるようなことはしなかったのだ。
しかしながら、麻里の場合は違う。
彼女が実らせた『台座』はここではなく家にあるのだ。
それにも関わらず、取りに帰ろうとする麻里に
みのりは内心でため息をはく。
(なんだかどっと疲れたわ)
だいたいこういうことは本来側近がするはずではないのだろうか。
みのりはいまだに自分の世界に入り込んでしまっている碧を
睨みつけた。
「ふふふ、あーんだなんて紅は可愛いですね。それでは私も……」
一体どんな妄想をしているのだろう。
碧のにやけただらしない顔に頬を引き攣らせた。
「へ、碧さん?」
紅との妄想を繰り広げている碧を見るのは
初めてだっただろう。
涼介が目を丸く見開いたまま動かなくなった。
一つ前に戻る GPの部屋に戻る 次を読む
|