Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




II@




 麻里が突然立ち上がり部屋を出て行こうとする。

みのりは慌てて止めた。

だが、出て行こうとした彼女はなぜ引き止められたのかまったく

理解していないらしい。


(考えることが太一君と同じってどういうことよ)


 太一の場合は『取っ手』を持ってきていたのだから

取りに戻っても問題はなかった。

だから引き止めるようなことはしなかったのだ。

しかしながら、麻里の場合は違う。

彼女が実らせた『台座』はここではなく家にあるのだ。

それにも関わらず、取りに帰ろうとする麻里に

みのりは内心でため息をはく。


(なんだかどっと疲れたわ)


 だいたいこういうことは本来側近がするはずではないのだろうか。

みのりはいまだに自分の世界に入り込んでしまっている碧を

睨みつけた。


「ふふふ、あーんだなんて紅は可愛いですね。それでは私も……」


 一体どんな妄想をしているのだろう。

碧のにやけただらしない顔に頬を引き攣らせた。


「へ、碧さん?」


 紅との妄想を繰り広げている碧を見るのは

初めてだっただろう。

涼介が目を丸く見開いたまま動かなくなった。










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