Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
IIC
「……お、おじちゃん?」
(太一君って意外と強い子なのね)
みのりは、眼光鋭い山波に怯むことなく話しかける太一を見て、
感心する。
「太一君に怒ったんじゃないから大丈夫よ」
眉を八の字に下げ山波を窺っている太一の肩へ、
律子が苦笑しながら手を置いた。
「そうなの?」
律子の言葉に太一は大きく見開いた瞳を1度閉じ、
さらに大きく瞼を広げる。そしてそのまま山波へ顔を向ける。
「ああ、坊主は関係ねえよ。全部あそこにいる彼が悪い」
幾分落ち着きを取り戻したみたいだ。
太一に八つ当たりしてしまったことへの羞恥心からか、
苦笑する山波の隣で太一が首をかしげている。
「碧さんっていうお兄さんが悪いの?」
「ああ、ぜんっぶ悪い!」
「太一君にはまだわからないかもしれないけど、
大人には色々あるのよ」
強く肯定する山波に対して律子がさり気なくフォローする。
「大人って難しいね」
まったく説明になっていない律子の言葉を理解できたのか、
太一は納得したような表情でため息交じりの返答をした。
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