Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IIC




「……お、おじちゃん?」

(太一君って意外と強い子なのね)


 みのりは、眼光鋭い山波に怯むことなく話しかける太一を見て、

感心する。


「太一君に怒ったんじゃないから大丈夫よ」


 眉を八の字に下げ山波を窺っている太一の肩へ、

律子が苦笑しながら手を置いた。


「そうなの?」


 律子の言葉に太一は大きく見開いた瞳を1度閉じ、

さらに大きく瞼を広げる。そしてそのまま山波へ顔を向ける。


「ああ、坊主は関係ねえよ。全部あそこにいる彼が悪い」


 幾分落ち着きを取り戻したみたいだ。

太一に八つ当たりしてしまったことへの羞恥心からか、

苦笑する山波の隣で太一が首をかしげている。


「碧さんっていうお兄さんが悪いの?」

「ああ、ぜんっぶ悪い!」

「太一君にはまだわからないかもしれないけど、

大人には色々あるのよ」


 強く肯定する山波に対して律子がさり気なくフォローする。


「大人って難しいね」


 まったく説明になっていない律子の言葉を理解できたのか、

太一は納得したような表情でため息交じりの返答をした。










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